みなさん、グラフ理論って知ってますか?
数学やソフトウェア開発を勉強されている方はご存知かと思いますが、簡単に言うと、点と線があって、それらの繋がり方を数学的に扱うものです。

グラフ

点はノード(node)と呼び、線は、辺またはエッジ(edge)と呼びます。
これが仕事の効率と何の関係があるか? というのは後ほど書くとして、
まずは、全てのノードを繋いだグラフを考えてみましょう。
ノードの数をnとしたときの、辺の数を数えます。下の図を見てください。

n=1のときは、ノードが1つだけなので、辺がありません。
n=2のときは、辺が1本です。
n=3のときは、3点を繋ぐ3本になります。
n=4になると、四角形の辺と、対角線を結ぶ辺で、合計6本になります。
そして、n=5のときは10本、n=6のときは15本になります。

全ての点を繋ぐグラフの辺の数

点がもっと増えると、n=10のときは45、n=100のときは4950、n=1000のときは499500になります。

このように、辺の数は点の数に比例するのではなく、急激に増えていきます。辺の数は、点の数nから計算で求めることができて、計算式は次のようになります。

n2の項があるので、n2に比例して辺の数がどんどん増えることになります。

さて、ここからが、仕事の効率の話になります。
これらのグラフの点を、人に置き換えてみてください。
そして、辺を、情報のやり取りと考えてください。報告や連絡、メール、電話、会議、資料作成など、仕事に関する情報のやりとりに必要な作業全てです。

例えば、人は、ディレクター、デザイナー、コーダー、プラグラマーなど。1つの案件を4人で分担すると、その人々の間に情報のやり取りの繋がりが6本できますね。この辺の数が、情報のやり取りにかかるコストです。

話を単純にするため、お客様や上司、外部とのやり取りは省略します。

案件に関わる人の数が増えるとどうなるか、もうお分かりですね。人の数が増えると、情報のやり取りにかかるコストが急激に増えていきます。例えば、3人から6人に増えると、情報コストが2倍ではなく5倍に増えます。

ですので、1つの案件に関わる人数は、出来るだけ減らした方がいいです。

人数を増やして分業化すれば、仕事の効率が上がると思いがちですが、情報コストの側面から見ると、分業化すると情報コストが増えて、仕事の効率は下がります。分業化するのは、効率化ではなくて、品質の向上・均一化や、人材の確保・教育のし易さに繋がります。

では次に、人数を減らせない場合を考えましょう。
人数を減らせない場合、情報のやり取りの繋ぎ方を変えてみます。いくつかのパターンのグラフを見ましょう。

色々な繋ぎ方

(1)の独立型は、例えば6件の案件があった場合、一人ひとりに案件を1つずつ割り当てて、1つの案件の全ての工程を一人で全部やります。一人でやるので、他の人との情報のやり取りは0になり、情報コストが最小になります。
理論上は理想的ですが、全社員が、管理、デザイン、コーディング、プログラミングから、営業、問題解決まで全てを一人でできる能力が必要です。こんなスーパー社員、滅多にいませんよね。

(2)の一点集中型は、情報を一人のリーダーが束ねます。パスが浅くて、人が増えても全体の情報コストが急増しないメリットがあります。
でも、情報が集中している人を見てください。その人に繋がる線は、減っていません。人が増えると、リーダーの負担がどんどん増えていきます。そして、横の繋がりがないので、横の人が何をやっているか分かりません。

(3)の分割型は、例えば6件の案件があると、3件ずつに分けて、それを半分の人数の2チームで独立して分担します。一人あたりの案件数を減らす代わりに、1つの案件を少ない人数でこなします。
一人当たりの役割は増えますが、情報コストが減り、リーダーの負担も少ないです。しかし、それぞれのチームに責任を持てるリーダーが必要になり、個人が複数の役割をこなす能力が必要になります。

(4)のツリー型も、情報コストが減ります。しかし、パスが深くなるので、上下の情報の伝達が悪くなる可能性があります。

このように、グラフ理論を使うと、ビジネスの効率を理論的な側面から見ることができます。
みなさんも、自分の関わっている仕事を、グラフ理論の視点からちょっと考えてみてください。効率化のヒントが見つかるかも知れませんよ。

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2009.09.15|Murakami

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